肛門周囲膿瘍・痔瘻(じろう)とは?
痔瘻(じろう)は、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のことです。肛門周囲に膿がたまる「肛門周囲膿瘍」が進み、慢性化すると痔瘻になります。
下痢などによって便中の大腸菌などが、肛門内の「肛門陰窩」というくぼみから、粘液を出す「肛門腺」に入り込むと、炎症を起こして浅いところや筋肉の奥の深いところなどといろいろの場所に膿がたまります。こうなると肛門の周りがはれたり痛んだり、局所に熱を持ったり、全身的に熱がでることもあります(肛門周囲膿瘍)。肛門周囲膿瘍は痛み止めや化膿止めなどで良くなることはなく、皮膚がやぶれて自然に膿が出るか、病院で切開をして膿を出すまで膿瘍はひろがり悪化し、最悪の場合敗血症で危険な状態になることもあります(切開は外来で局所麻酔で行いますが、炎症が広範囲の場合は入院のうえ腰椎麻酔で行います)。溜まった膿が排出されると一旦症状は改善しますが多くの場合、直腸から肛門、皮膚へと繋がる管ができます。これが痔瘻です。
当院では「肛門が腫れて痛む」を主訴に多くの患者様が来院され、肛門周囲膿瘍の診断で局所麻酔で切開排膿術を行いますが、3~4割の方がその後痔瘻に移行しています。