淀縄医院は何でも診るクリニックです
ヘリコバクタ・ピロリ菌とは?


胃粘膜の中に生息するヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)は、1982年オーストラリアで、胃・十二指腸潰瘍の原因菌として発見されました。 ピロリ菌はほとんどが免疫力の弱い小児期に感染し、それ以降は感染しにくいといわれています。 ピロリ菌に感染すると菌は胃にそのまま定着し一生感染が持続します。日本の場合は衛生環境が十分整っていなかった時代に生まれた方の感染率が高く(井戸水を摂取する機会が多かったためとされています)、50歳以上の約80%の人はピロリ菌を保菌していると言われています。 感染経路は家庭内での経口感染(親から子への食物の口移しによる)が多いとされています。 その後の研究で、胃がんの発生にピロリ菌が関与していることがはっきりし、1994年世界保健機構(WHO)は、ピロリ菌を確実な発がん物質と認定しました。 日本ではむかしから胃がんが多く、また世界的にみても、日本人のピロリ菌感染率は高いのです。 ピロリ菌による胃がんの発生には胃内での慢性炎症が強く関わっています。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると炎症が起こり、感染が長く続くと、胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼びます。 ヘリコバクター・ピロリ感染が胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎を引き起こし、その一部が胃がんに進行していきます。 
ピロリ菌除菌は胃がん予防に大きな効果があるとされていますが、これまでのピロリ菌の除菌治療は、慢性胃炎がさらに悪化し胃潰瘍などになるまでは保険適用されておりませんでした。しかし、平成25年2月21日ついに委縮性胃炎や化生性胃炎などのピロリ菌に起因した慢性胃炎の患者さんに対しても除菌療法が保険適応となりました(内視鏡検査で萎縮性胃炎と確認されピロリ菌検査が陽性となった患者様に限られます)。これらの胃炎は胃がんの発生母地になると考えられており、ピロリ菌感染のない人は胃がんが少ないことが疫学的に言われています。除菌を行うことで胃がんになる危険性を3分の1程度にまで下げることが可能と考えられています。
ピロリ菌の診断法
内視鏡を使う方法
迅速ウレアーゼ試験
採取した組織を用いてピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作り出されるアンモニアを調べて、ピロリ菌がいるかどうかを判断します。約30分で判定結果がでます。
鏡検法
採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。1~2週間で判定結果がでます。
培養法
採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。2~4週間で判定結果がでます。
内視鏡を使わない方法
抗体測定
血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べることにより、ピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。2~3日で判定結果が出ます。
尿素呼気試験
検査用のお薬を飲み、一定時間経過した後に吐き出される息(呼気)を調べて、ピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。2~3日で判定結果が出ます。
便中抗原法
便を調べてピロリ菌感染を判定します。1~2週間で判定結果がでます。 当院では初診時に内視鏡検査と迅速ウレアーゼ検査を同時に行いピロリ菌判定を即日に行うことが可能です。
ピロリ菌の治療法
内視鏡検査で胃・十二指腸潰瘍潰瘍または萎縮性胃炎と診断された方に対してピロリ菌の検査が行われて、陽性の方に対して治療がなされます。最初に用いられるのがアモキシリン+クラリスロマイシン+プロトンポンプ阻害剤を1週間投与する3剤併用療法です。現在はこれらの治療薬がキット製品となって売り出されています。 当院では下記のボノサップパック400(アモリン250mg3カプセル+クラリス200mg2錠+タケキャブ20mg1錠を1日2回朝・夕食後、武田薬品株式会社)を主に処方しています。
近年クラリスロマイシンに対する耐性菌が増加して、除菌治療の成功率は80%以下に低下しており、一回目の治療に無効な場合、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに代えて再除菌(二次除菌)する方法を行います。 除菌判定は除菌治療後4週間以上あけてから行います。当院では最も簡便な尿素呼気試験をおすすめしています。抗体測定は6ヶ月以上あけないと正確な判定はできません。 以下にピロリ菌検査からピロリ除菌(一次・二次)、除菌判定の流れを示します。
淀縄医院ではピロリ菌除菌治療を積極的に行っていますが、 保険適用でピロリ菌の検査・除菌治療を行うことができる対象の患者さんは決められています。詳しくは、担当医にご相談ください。電話・インターネットでも受け付けておりますのでお問い合わせフォームをどうぞご利用ください。
当院は茨城県でピロリ菌の診断・治療ができる施設として紹介されています