B型・C型肝炎に対する内服薬治療(核酸アナログ・インターフェロンフリー)

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 B型肝炎とは?

 B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液や体液を介して感染することにより起こる病気です。感染経路としては、出産時のB型肝炎ウイルス感染者の母親から子への感染(垂直感染)とそれ以外の感染(水平感染)とがあります。また、一過性感染で終わる場合と6カ月以上にわたって感染が持続する持続感染とに分けられます。現在の日本の感染者は110万人~125万人(2011年時点)と推定され、多くは60歳以上の高齢者ですが、近年では性的接触等による若年者の感染も増えています。

垂直感染と水平感染

垂直感染:母子感染

母子感染とは、出産時に産道においてB型肝炎ウイルスに感染したお母さんの血液が赤ちゃんの体内に入ることにより感染が起こることです。日本においては、1986年以降、母子感染予防対策が行われるようになっており、出産時でのB型肝炎ウイルス感染はほとんど防げるようになっています。

水平感染:性的接触・輸血・臓器移植・刺青・針刺し事故等

以前は輸血集団予防接種での注射器の使いまわし医療者における針刺し事故等がありましたが、感染予防対策、ワクチンの予防接種導入により、ほとんど感染例はみられなくなってきました。現在では性的接触入れ墨(タトゥー)等における針の使いまわしせい剤等の注射の回し打ち等による感染者が増加しています。

一過性感染と持続感染

一過性感染

思春期以降にB型肝炎ウイルスに感染した場合には、多くの場合は一過性感染で終わります。急性肝炎を起こすことがありますが、大部分の人ではウイルスが排除され、慢性化はしません。また自覚症状がないうちにウイルスが排除される人もいます。ただし、急性肝炎を発症した人の中には、急激に症状が悪化して劇症肝炎を発症し、死亡する例もあります。また近年では、欧米型のウイルス(ジェノタイプA型)による急性肝炎が増加しており、そのうち10%は慢性肝炎に移行するとの報告もあります。

02 持続感染

出産時の感染や、乳幼児期に感染した場合は、免疫機能が未熟なためウイルスを排除することができない持続感染者(キャリア)となる場合があります。持続感染者が思春期から30歳頃になると免疫機能が発達するため免疫細胞がウイルスを排除しようとします。その際、感染している肝臓の細胞も一緒に壊してしまうため、肝炎を発症します。多くの場合、肝炎の症状は軽いですが、B型肝炎ウイルス感染者の10~20%の人は慢性肝炎へと進行し、その中から肝硬変肝がん発症する人も出てきます。

03

肝炎ウイルス検査に関する検査情報サイトより

B型肝炎の治療

ウイルスを抑え肝炎をなくす

現在の治療では、HBVを完全に排除してB型肝炎を完治させることはできません。そのため、B型肝炎の治療目標はウイルスを増殖しない状態にし、肝炎をなくすことにあります。

治療方法は主に2種類

インターフェロン

ウィルス効果と免疫賦活効果

インターフェロンのHBV増殖を抑える力はあまり強くありませんが、免疫賦活作用があり、有効例では免疫を介してウイルスの増殖を抑えます。このため、一旦効果が出るとこれが長続きするという長所があります。ただし、十分な効果を得られない人も少なくありません。

35歳未満で治療期間を限定したい患者さんや遺伝子型がAかBの患者さんで推奨されます。ただし、肝の線維化が進行したり肝の機能が低下したりした患者さんでは慎重になる必要があります。

核酸アナログ   

強力なHBVの増殖抑制効果

核酸アナログ薬はウイルスの増殖を強力に抑えて肝炎をなくす効果があります。経口薬なので投与しやすく、副作用も少ないので使いやすい薬物です。ただし、変異により薬物に対する耐性を持つウイルスが出現すると効果がなくなってしまいます。また、HBVを完全に排除することはできないため、薬物を中止したときに肝炎が再燃する危険性もあります。

現在、4種類の核酸アナログ製剤(ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、テノホビル)が用いられています。

35歳以上で自然治癒が見込めない患者さんや、肝の線維化が進行した患者さんで推奨されます。重症の肝炎や肝不全がある場合も第一選択となります。

C型肝炎とは?

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液や体液を介して感染することにより起こる肝臓の病気です。日本の感染者は100万人~150万人(2011年時点)と推定され、その多くは60歳以上の高齢者です。しかし近年の新規感染者は若年者が多く、覚せい剤等の注射の回し打ちや入れ墨(タトゥー)やピアス等の針の使いまわしによるもの推測されています。 C型肝炎ウイルスに感染すると約70%の方が持続感染となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がん進行しますが、自覚症状がないことも多く、感染していることを知らない方や知っていても医療機関に受診されていない方が多いのが現状です。C型肝炎ウイルスに感染すると約70%の方が慢性肝炎を発症します。その後、およそ20年で約30~40%の人が肝硬変となり、そのうち年率約7%の方が肝がんへと進行します。わが国の肝がん患者の70%はC型肝炎ウイルス感染者であり、年間3万人の方が肝がんにより亡くなっています。
肝炎情報センターより

C型肝炎の治療

慢性C型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にあります。 C型肝炎の治療には、大きく分けて「肝庇護療法」「抗ウイルス療法」の2種類があります。

肝庇護療法

肝臓の炎症を抑える

 「肝庇護療法」とは、肝臓の炎症を抑えて肝細胞の再生を促すことで肝臓の繊維化を遅らせる治療法です。C型肝炎そのものを治す効果はないものの、副作用が少なく、高齢者でも安心してできる治療です。

飲み薬と注射薬があり、状況に応じて使い分けます。 

また「除鉄療法」も有効な肝庇護療法で、瀉血と鉄制限食で体内の鉄を減らす治療です。C型肝炎では鉄が吸収されやすく、肝臓に余分な鉄がたまると肝障害を強めることからこの治療法が開発されました。意外に効果的です。

抗ウイルス療法

ウィルスを排除する

インターフェロン(IFN)

C型肝炎の抗ウイルス療法は「インターフェロン(IFN)」が基本的な治療薬です。インターフェロンは元々わたしたちの体内で作られており、免疫を調整しています。しかし、肝炎ウイルスに感染すると、体内で作り出すIFNの量ではウイルスの増殖を防ぎきれなくなるため、人工的につくられたIFNを体内に入れ、C型肝炎ウイルスを体内から排除して完全治癒を目指します。

完全にウイルスが消失するのはIFN療法を行った患者の約3割と言われており、全ての患者に効くわけではありません。 しかし、完治はしないまでもC型肝炎ウイルスが減少したり、肝機能が正常化する患者さんの数を合わせると4割の人にIFNの効果が出ていることになり、IFNがなかった時代に比べると肝臓ガンの発症率は大幅に下がっています。

これまでの治療は、IFNだけを単独で注射する方法が一般的でしたが、最近は、リバビリンという抗ウィルス薬(経口薬)を併用することで、より高い効果が期待できるようになりました。しかも、ペグインターフェロン(PEG-IFN)という週1回の注射ですむ薬剤も開発され、患者さんの負担も軽くなってきています。

直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting Antiviral Agents:DAAs

2011年に初めてC型肝炎ウイルスの遺伝子に選択的に直接作用する抗ウイルス薬(DAAs ; direct-acting antiviral agents )「テラプレビル」が登場しました(第1世代HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤)。このテラプレビルPEG-IFNそしてリバビリンの3併用療法により持続的ウィルス排除率73%という高いウイルス陰性化率を示しました。 2013年には、第2世代HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤である「シメプレビル」が登場し、PEG-IFN、そしてリバビリンの 3剤併用療法で持続的ウィルス排除率89%という更に高いウイルス陰性化率を示しました。

2013年時点の日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン」でも、C型慢性肝炎の日本人に多いゲノタイプ 1 型・高ウイルス量症例への治療の原則として、この「シメプレビル、PEG-IFN、リバビリンの3剤併用療法」が推奨されています。

持続的ウイルス排除率

肝炎.netより

インターフェロンフリー

2014年、インターフェロンを使わない(インターフェロンフリー)、新しい経口の抗ウイルス薬2剤「ダクラタスビル(ダクルインザ) 」と「アスナプレビル(スンペブラ)」の併用療法が登場しました。ジェノタイプ1のC型慢性肝炎、又はC型代償性肝硬変の方が対象となります。
ダクラタスビルはHCV NS5A複製複合体阻害剤、アスナプレビルは第2世代HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤です。両者ともDAAsであり、インターフェロンやリバビリンは使わない、従来のC型肝炎の抗ウイルス剤とは一線を画す治療法です( ダクラタスビルは1回60mgを1日1回経口投与、24週間。アスナプレビルは1回100mgを1日2回経口投与、24週間)。
ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法の24週投与後の著効率(SVR)は、IFN不適格の未治療あるいは不耐用例は87.4%(135/118)、前治療無効例は80.5%(70/87)、合計84.7%(188/222)で非常に高いウィルス陰性化率を示しています。

肝炎.jpより

肝炎治療費助成制度

肝炎治療(インターフェロン治療、インターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤治療)に対する医療費の助成

現在、厚生労働省と都道府県では、B型・C型肝炎のインターフェロン治療及びC型肝炎のインターフェロンフリー治療並びにB型肝炎の核酸アナログ製剤治療に対する医療費助成を行っています。

これは、
1. 肝炎が我が国最大級の感染症であること
2. 肝炎に対するインターフェロン治療及びインターフェロンフリー治療並びに核酸アナログ製剤治療によって、その後の、肝硬変や肝がんといった、より重篤な病態への進行を防止することができること
3. しかしながら、これらの治療が高額で患者の治療へのアクセスがよくないこと
などに鑑み、早期治療の推進のために行うものです。

具体的には、患者の世帯の市町村民税課税年額に応じ、その自己負担限度月額を原則1万円(上位所得階層は2万円)に軽減します。

階層区分 自己負担限度額(月)
 甲  世帯の市町村民税(所得割)課税年額が
235,000円以上の場合
20,000円
 乙  世帯の市町村民税(所得割)課税年額が
235,000円未満の場合
10,000円

 

当院ではB型・C型肝炎に対する内服治療(核酸アナログ製剤・インターフェロンフリー)を行っています。また、インターフェロン治療についても地域の中核病院と連携して治療にあたっています。治療費助成制度なども含め肝炎治療でお悩みの方はぜひ当院へ御相談下さい

 

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